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カリフォルニア・アーバイン発
豆腐、メジャー食品への道
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高木美津子 |
先日、ロサンジェルスの有名人Mr.豆腐ことK氏(M乳業)ご本人から、「いかにして豆腐をアメリカに紹介したか?」というお話を聞く機会があった。今では健康食品として、しっかりとアメリカ社会に定着した豆腐。だが、その道のりは「険しい」の一言だったようだ。
今から17年前の1985年、日本で「すしと豆腐を食べるアメリカ人」というニュースが流れ、当時新しい販売先を模索していたM乳業はアメリカ進出を決定。意気揚々と日本からやってきたK氏であったが、ニュースとは大きく異なる厳しい現実が待っていた。食文化に限らず、異文化は簡単に受け入れられるものではないのだ。
まず、豆からできている豆腐は人間の食べ物ではないという意識の違い。次に、感覚の違い。豆腐の風味は、アメリカ人にとって靴下のニオイだという。そして社会の違い。夫婦共働きが常識(=料理の手間を惜しむ)のアメリカ人には、全く興味を引かない食べ物だった。というわけで、1987年の新聞「USA
TODAY」では、「アメリカ人の嫌いな食べ物のナンバー1は豆腐!」というとんでもない勲章までもらってしまった。
一度はアメリカ撤退を決心しかかったが、彼の努力は続いた。アメリカ人の家庭へと泊り込み、食生活の違いなどを自分で体験。そして豆腐をアメリカナイズさせることだと気づき、豆腐を使った料理のレシピに力を入れることにした。
その後、クリントン大統領の奥さんヒラリー夫人の「豆腐が健康によいので、食べている」という一言が引き金となり、今日の「豆腐=健康食品」という地位を獲得した。現在では、豆腐は、健康フェチ食品。健康マニアには、欠かせない食材となっている。
よく欧米の映画に出てくるワンシーン。男性は、女性が車に乗る時も降りる時も、さりげなくドアを開け閉めしてくれる。いいなぁ。女ならこんな風にエスコートされたい。これは、映画の中だけの話ではない。実際、アメリカにいるとよく見かける。そこで、My
husbandにささやいてみた。「私もああいう風にドアを開けてもらいたいなぁ」と。すると返ってきた答えは、「バカかおまえ。彼らの上っ面だけ見て。アメリカ人は、奥さんを大事にしているように見せかけて、影では浮気だぞ。彼らは、そのためにサービスしているんだ」と、けんもほろろ。ガックリ!!
ところで、このレディーファースト、欧州での生活経験を持つAさん(男性)曰く、「欧州の男性は女性に優しいが、それは女性が子どもと同じように男性より一段低い人種であるという考えからのもの。キリスト教圏の男性の優しさは、男性の絶対優位性からきている」のだと言う。実際に、欧州では女性に人権はなかったらしい。女は、お人形のように大事にはされていたが、結婚後は夫が何もかも支配していた。これを知った時、私は思った。「レディーファーストなんて、うらやましくない。女を馬鹿にしている!!」
しかし、現代のアメリカ女性はというと、男性と同等の権利を持っているようにみえるし、女性ということで大事にされているようにもみえる。(むしろ威張ってみえることも)これはかなり本当のこと。甘い汁を吸っているように見える。
さて、わが家の場合、少しは環境に影響されてもいいと思うのだが、何年アメリカに住もうとレディーファーストなんてことは全くない。さらに悲しいかな、習慣とはおそろしいもの。ここはアメリカなのに、日本で培った男性優先文化が体に染みついているらしく、男性と行き交うと、考える前に「お先にどうぞ」をしてしまう自分。悲しい!!この譲り合い精神は、相手が日本人なら問題ないが、こちらでは相手を戸惑わせてしまうこともある。
というわけで、レディーのように扱ってもらいたいと思ってはいても、なかなか文化の壁は厚い。やっぱり、日本人だなぁ、私。が、女なら男にため息をつかせるほど大事にされたい! あなたは、どう思いますか?
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